第1回 店が成功する前提条件
第2回 立地評価 T
第3回 立地評価 U
第4回  売上高予測
第5回 立地選定のプロセス
第6回 既存店再構築 T  (企業収益最大化への道)
第7回 既存店再構築 U(企業収益最大化への道)
第8回 流通業界「勝ち組」の条件
第9回 立地の回帰
第10回 競争力強化
第11回 競争力強化 U

第4回 売上高予測

ダイエーのCEOに「林 文子」さんが就任しました。元BMW東京の社長です。
自動車業界から小売業界への転進ですが、スーパーマーケットの素人の発想に期待したいと思います。
さて、今回は「売上高予測」について解説したいと思います。

新規出店にあたって「立地評価」とともに「売上高予測」は大変重要です。新規出店で売上高予測が実際の売上高より大幅に下回れば、企業経営に大きな打撃となります。

売上高予測に絶対の手法はありません。その理由は、店舗力の要素が計量化できないものも多いからです。計量化できるものとできないものを分けてみましょう。

「計量化できるもの」

 

・売場面積
・駐車台数
・商圏世帯数
・競合店売場面積
・商圏特性(単身世帯、年齢構成など)等

 

「計量化できないもの」

 

・店長、従業員の能力、やる気
・新規店舗の価格政策
・新規店舗の商品鮮度、品揃えなど
・競合店の店舗力 など

売上高予測は計量化出来るものを基準に予測します。ただし、計量化できないものを加味することは可能です。しかし、計量化出来るものを基準として、売上高予測の手法を開発することが重要です。

計量化できないものを含めて、売上高予測手法を考えると、どうしても「感」というあいまいなものが混在してしまいます。

売上高予測の手法
売上高予測の手法には様々な方法があります。どの方法がよいかということは、業種・業態によって変わってきます。ここでいくつかの方法について説明します。

 

ハフモデル手法
この方法はアメリカの学者で「ハフ」という人が考えた手法で、最も一般的に活用されている方法です。
「消費者が店を選択する要因は、店舗面積に比例し、時間距離に反比例する」という考え方です。
次の例を見てみましょう。

 


鈴木さんがAスーパーへ行く確率とBスーパーへ行く確率(出向比率)を計算してみましょう。

 

 

鈴木さんがAスーパーに出かける確率は66.6%、Bスーパーへ出かける確率は33.4%となります。時間距離を2乗しているのは、最寄品の買物の場合、店までの距離が遠くなると、より行かなくなるため、距離を2乗しています。

ハフモデルは、スーパーマーケット、ホームセンターなどの業態に適した手法です。

 

重回帰手法
チェーン店で多く使われている手法です。セブンイレブンやマクドナルドなども重回帰を基本とした手法で予測を行っています。
重回帰手法は、既存店(30店舗以上)のデータを計量化し、売上高予測モデルを作り上げるものです。

売上高を決定する要因は様々です。売場面積、駐車台数、店の間口、距離別世帯数、視認性競合店、交通量など。これらの要因が売上高とどれくらい関連があるかを統計的に分析するのが重回帰手法です。
店の数が30店舗以上あれば、どんな業種・業態にも応用できます。
ただし、かなりの専門的知識は必要になります。

 

類似店舗法
これは言葉の通り、自社の既存店舗と新規出店物件を比較し、新規出店物件と類似している店舗を選び出し、売上高予測をするものです。この方法も、数十店舗の既存店舗がないと精度の高い売上高予測はできません。

 

客数・客単価法
新規出店物件について、客数・客単価を予想し、売上高予測をするものです。
予想客数は、商圏世帯数と来店頻度から予測するのですが、経験によるところが大きいため、 精度は高くはありません。

 

マーケットシェア法
新規出店物件の商圏の潜在購買力からマーケットシェアを乗じて売上高予測をするものです。
これも経験を要するためあまり一般的ではありません。

以上の他にも、様々な方法がありますが、新規出店の失敗は取り返しがつきません。
複数の売上高推定手法を開発することをお勧めします。